目次
犬のアレルギー症状を軽減するための生活環境の整え方
犬のアレルギー症状は、かゆみやフケ、赤みなどが見られ、慢性的な皮膚炎に移行することもあるなど、さまざまな形で現れます。
アレルギー症状を軽減するためには、投薬と合わせて、適切な環境作りが欠かせません。
本記事では、獣医師の視点から、犬のアレルギー症状を軽減するための生活環境の整え方をご紹介します。
「なかなかアレルギー症状が改善しない…」「少しでもかゆみをとってあげたいな!」という飼い主様はぜひチェックしてみてください。
犬のアレルギーの種類
犬のアレルギーには大きく分けて以下の3つがあります。
それぞれの原因や症状を知ることで、適切な対策ができる可能性があります。
1. 環境アレルギー
環境アレルギーの原因には、花粉やハウスダスト、カビやダニなどがあります。
ノミの唾液に対して皮膚炎を起こすノミアレルギー性皮膚炎もよく見られます。
人の花粉症では目や鼻のかゆみや鼻水といった症状がよく見られますが、犬の場合には皮膚の赤みやかぶれといった皮膚症状が見られることが多いです。
2. 食物アレルギー
食物アレルギーの原因になるものは、主にタンパク質と炭水化物です。
牛肉や鶏肉、小麦や乳製品などに対して反応し、嘔吐や下痢をはじめとする消化器症状、皮膚の炎症などが見られます。
3. 接触性アレルギー
接触性アレルギー(接触性皮膚炎)の原因には、シャンプーや洗剤などの化学物質、家具や床材、植物などがあります。
主な症状として、触れた部位の皮膚炎やかぶれが見られます。
犬のアレルギーに対して生活環境を整えるポイント
以下でご紹介する4つのポイントをおさえることで、アレルギー症状が軽減する可能性があります。
1. 室内環境の清潔さを保つ
掃除を徹底する
フローリングは毎日掃除機をかけ、カーペットや布製品は定期的に洗濯しましょう。
コロコロをこまめに使用することで、ダニやダニのエサとなる被毛やフケ、皮膚の一部などを除去することもできます。
ハウスダストやダニの繁殖を抑えるため、アレルギー対応の掃除機を使用するのも効果的です。
空気清浄機を活用する
犬の被毛や花粉、ホコリを除去するために、空気清浄機を活用することもおすすめです。
空気中のごく小さな粒子を捕集することができるHEPAフィルター付きの空気清浄機なら、より空気を清潔に保つことができるでしょう。
湿度管理を徹底する
湿度が高いとカビやダニが発生しやすくなるため、50%前後に保つことが理想的です。
ただ、乾燥した時期に50%まで上げることはなかなか難しいため、少なくとも40%以上を維持できるよう努めましょう。
気道や皮膚を健康的に保つためにも湿度管理は大切です。
冬場は加湿器、梅雨時は除湿機を活用しましょう。
2. 食生活の見直し
アレルギー対応フードを選ぶ
獣医師に相談し、アレルゲンを含まないドッグフードや今までに食べたことのないドッグフード(新奇タンパク質)に切り替えることで症状が改善することがあります。
タンパク質をより小さくアミノ酸レベルまですることで、アレルギー症状を緩和するドッグフードもあります。
おすすめフード例:
■ ロイヤルカナン センシブル:消化に優れた成分配合
■ ナチュラルバランス リミテッドインディグリエント:アレルゲンを限定した原材料
手作り食の検討
獣医師の指導のもと、アレルゲンを排除した手作り食を取り入れることも効果的です。
手作り食では栄養に偏りが生じることも多く、しっかり勉強したのち作製する必要があります。
3. 寝床や居場所のケア
寝具の洗濯
犬用のベッドや毛布は、ダニを防ぐために週1回の洗濯を心がけましょう。
その後しっかり乾燥させることも大切です。
抗菌・抗ダニ加工の寝具を使用
アレルギー専用の寝具を使用することで、症状の軽減が期待できます。
4. 外出時の対策
花粉の季節は散歩時間を調整
花粉が多い時間帯(午前10時~午後3時)は避け、早朝や夕方に散歩を行いましょう。
帰宅後のケア
散歩後は濡れタオルで被毛や足を拭き取り、花粉や汚れを取り除きます。
服や靴を着用しての散歩もおすすめです。
ブラッシングをすることで、フケや汚れを取り除き、皮膚の血流をよくすることもできます。
アレルギー症状を緩和する具体的なケア
生活環境の改善と合わせて、以下のケアを取り入れることで、症状の緩和につながる可能性があります。
1. 低刺激シャンプーを使用する
犬用の低刺激シャンプーを使い、皮膚のバリア機能を守りながら汚れを落とします。
体に合っていないシャンプーを選ぶことで、余計に皮膚の状態が悪くなることがあります。
薬用シャンプーを選ぶ際は、獣医師に相談するようにしましょう。
また、ぬるま湯で十分な予洗いを、薬用シャンプーをつけ起きする時間を設け(10分程度)、その後しっかり洗い流すことも大切です。
ドライヤーは皮膚を乾燥させてしまう可能性もあるため、タオルドライをしっかり行い、半乾き程度で終わらせることもおすすめです。
その際、風邪をひかないよう、お風呂上りは暖かい部屋で過ごすようにしましょう。
● おすすめ商品例:
○ ノルバサンシャンプー:抗菌・抗真菌効果が高い
○ アース・ペット低刺激シャンプー:敏感肌用に設計
2. 保湿ケアを取り入れる
セラミド配合の保湿スプレーやジェルを使用することで、乾燥によるかゆみを軽減します。
薬用シャンプー後に行うことで、より効果を発揮します。
皮膚に塗りこむタイプの保湿剤もあります。
3. サプリメントの活用
オメガ3脂肪酸やビタミンEを含むサプリメントは、皮膚の健康をサポートします。
数カ月程度と、ある程度長期的に使用することで効果を発揮するようになります。
● おすすめ商品例:
○ ドクターズケア アレルゲンケアサプリ
獣医師への相談のタイミング
アレルギー症状が次のような場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
1. 皮膚が赤く腫れている
2. 継続的にかゆがっている
3. 嘔吐や下痢などの消化器症状がある
散歩後にかゆがる、ドッグフードを変えてから症状が出たなど、思い当たることがある場合には、あわせて獣医師に伝えるようにしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 犬のアレルギーは治りますか?
A. 完治は難しい場合が多いですが、適切な環境作りとケアで症状を大幅に軽減できる可能性があります。
Q. アレルギー検査は必要ですか?
A. 必須ではないですが、何に対してアレルギー症状を引き起こしているのかを特定できる可能性もあるため、できれば行った方がいいでしょう。
アレルゲンの特定には、血液検査(IgE検査やリンパ球反応検査)、パッチテスト(皮内反応試験)、除去食試験と食物負荷試験が有効です。
Q. 薬の使用は必要ですか?
A. ほとんどのアレルギー疾患で必要となります。
抗ヒスタミン剤やステロイドなどの薬物を用いますが、使用が長期になるため、副作用には十分に注意する必要があります。
まとめ
犬のアレルギー症状を軽減するためには、生活環境を整え、適切な食事と日常のケアが重要です。
この記事を参考にして、愛犬にとって快適で安心な生活環境を整えていただけたらと思います。
アレルギー症状が改善しない場合は、早めに獣医師に相談してください。